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今載せてる連載、未推敲で原稿の方は訂正ばかりしているのだが
だんだん構想が固まりつつあり興奮してきたのでボソリ。
あれだな。書籍化するなら十巻プラス外伝一巻になる。
2011.11.18 Fri l 連絡事項 l コメント (0) トラックバック (0) l top

こんにちは!トラックバックテーマ担当の加瀬です(^o^)/今日のテーマは「あなたが【ジャンケン】をする時の掛け声は?」ですご当地番組などでよく検証されている"じゃんけん"の地方ごとの掛け声ですが、各地方ごとバリエーションも豊富で、観てると非常に興味深いですよね…同じ県内でも、ちょっと場所が違うだけで全然掛け声が違ったりするので、急にジャンケンする機会に遭遇した時に、聞いた事のない掛け声を聞くとリズ...
トラックバックテーマ 第1318回「あなたが【ジャンケン】をする時の掛け声は?」




 「最初はグー、ジャンケンほい!アイコでしょ!」

 何を賭けているのだろう。公園の砂場前で拳を付き合わせる子供たちの顔は、皆一様に酷く真剣な顔をしていた。私はベンチに座り、陽気な風に身を任せながらそれを何気無しに見ている。

 勝負はなかなか決さないようである。アイコが続くと、彼らの掛け声は徐々に変化していった。

 「エーっしょ!エーっしょ!」

 声高に叫ばれるその言葉を聞いて、私は吹き出しそうになった。イントネーションは違うが、なんだか、「ええっしょ、ええっしょ」という、おばちゃんが頑なに何かを勧める際に発する文句が連想されたからである。

 いやしかし、と私は思う。実際におばちゃんが「ええっしょ」と何かを私に勧めてきた事が、かつてあっただろうか。否、私はその現場をテレビCMでしか見た事がないのに気付いた。では、もしそのような機会があれば、それはどのような場なのだろうか。

 ふと私の脳裏には、密室に閉じ込められた二人の男女が浮かび上がる。男は私、そして女は、おばちゃんである。

 「こんなところに閉じ込めて、貴女はどうするおつもりなのか」

 「ふふ、はんかくさいやっちゃね。もう気付いてるくせに」

 おばちゃんは上目遣いで私を見据え、近寄るそのうなじからは艶かしい香りが私の鼻腔を刺激してくる。後ずさりした私は、背後のベッドにつまずいて座る。

 「だめですよ。旦那さんがなんとおっしゃるか」

 「ええっしょ、そんなの」

 薄暗い密室に浮かび上がるおばちゃんの吐息は甘く、更に私に近づいた彼女は、少し目を伏せて私の首にそっと腕を回す。

 「ええっしょ……」

 そんな馬鹿な。

 おもむろに足を組んで、私は強く目を瞑った。そんなことがあってたまるものか。何を考えているんだ、馬鹿か私は。

 「エェーーーーっしょ!ギャー!」

 私が目を開けるのと時を同じくして、どうやらジャンケンの勝敗が決したようである。一人負けを喫したのであろう男の子は、絶望のふちに立たされたかのような暗い表情を呈し、取り巻きは歓喜しながら、「早くしろよ」と敗者をはやし立てる。

 やがて取り巻きが周囲に散り、残された男の子は意を決したような足取りでこちらに駆け寄ってきた。そして私の前で立ち止まり、大声で叫ぶ。

 「おじさん!服着ろよ!」

 一息にそういうと、取り巻きもその子も「ギャー!」と言いながら退散していく。

 「馬鹿か!この恰好が気持ちよいのだ!」

 パンツ一丁の私は憤然として立ち上がり、そう叫んだ。


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※ファンタスティック☆夜です。
2011.11.17 Thu l 1000文字小説 l コメント (0) トラックバック (0) l top
 23時になった。二人しか居ない情報室には、立ち並ぶパソコンの熱気とファンの音、そして耳鳴りのような何かが充満している。

 「ハル、レポートできたか?」

 「いや」

 私は隣でキーボードを打つ進藤の言葉にそう答えた。あまりに淡白な返事であったためか、一度手を止めてこちらの画面を覗き込んだ松尾は、次に怒りにも似た感情を孕ませて「馬鹿かお前」と私に言った。

 「なんでこの期に及んで掲示板のまとめサイト見てるんだよ」

 「ふっ」

 「ふっ。じゃねぇよ」

 我々は、今日の24時きっかりを以って受付終了となる必修課題のレポートを抱えていた。それを落としてしまえば留年は決定するのだが、私はこの通り、一切まだ資料にも手をつけずにいる。

 昼休みに焦って声をかけてきた進藤もまた、レポートに手をつけていないらしかった。同じ境遇の人間がいたことを知るや(厳密に言えば、彼は忘れていて、私は無視していたのだが)安心した表情を浮かべ、彼は「一緒にやるか!」と私の肩を叩いた。結果、こうして情報室にいる二人だったが、私は正直、この状況に連れションのような滑稽さを感じずにはいられなかった。

 ダンッ、という激しい音と共に、進藤がエンターキーを押すのがわかった。情報室に入ってから一度も席を立たっていない彼は、癒着したかと思われた尻を今ようやく椅子から離脱させ、大きな伸びをした。しかし、それから何故か椅子をこちらに寄せたかと思うと、ふんぞり返って座りながらこんな事を言い始める。

 「俺は終わった。これからは全面的にお前の監視にまわる」

 「は?」

 進藤は無言で私の画面もとい現実を見据える。彼を前にして、さすがにこれ以上現実逃避を続けるのは無理だと思われた。「何をすべきか」なんて、私も本当は知っているのだ。だから私は少ししてから、「あー」とあからさまなため息をついた。

 「……わかったよ。あることないこと書けばいいんだろ?」

 「ないことは書くなよ」

 おそらく彼がいなければ、そういうパラレルワールドがあったとすれば、きっと私は最期まで現実を拒み続けたろう。連れションに誘われなければ小便ができないのは、私のほうじゃないか。その情けなさが、今更になって私を襲ってきた。なぜそういう人間になったのかは、私にもわからない。しかし、なんだかんだ言いつつも、彼にはどうやら、感謝せざるを得ないのだろう。

 私は渋々ワードを立ち上げ、俄然、キーボードからは豪雨のような響きが上がり始めた。
2011.11.14 Mon l 1000文字小説 l コメント (0) トラックバック (0) l top
 じゃんけんに負けて皿を洗わされた。今日は僕の誕生日会だというのに、彼女による僕の扱いは無条件に無差別的だ。一時間近くかけてようやく仕事が終わり、流し台の蛍光灯を消した僕は、やれやれと溜息をつく。

 台所を出ると、リビングでは彼女が背を向けて座り、テーブルの上で何かをしていた。

 「何やってるの?暇人さん」

 頭上から声を掛けられた彼女は僕を見上げ、にんまりとした笑みを浮かべた。

 「飛び出す絵本つくった」

 そう言って僕に差し出したのは、ささやかなバースデーカードだった。絵本といっても、ページがあるわけではない。開くと四角いケーキが飛び出す、ごく単純なものだった。

 こういうのは今作るものじゃぁないだろう、と僕はようやく受け取った誕生日プレゼントに苦笑を漏らす。だが次に、そこに書いてある「ずっと大好きだよ」という汚い字を見て、堪らず彼女の頭を抱きしめた。

 子供っぽい彼女は危なっかしく、僕は放っておけずにしょっちゅう面倒を見ていた。すると彼女はすぐに僕になつき、いつも僕と一緒にいるようになった。

 「ずっと一緒だよ」

 うん、ずっと一緒。その柔らかい頬が、艶やかな髪が、舌足らずな声が、美しい眼差しが、僕から遠く離れてしまうことなどは、もう、考えられなかった。

 永遠とも思われる三年間が過ぎた。まだ二十年も過ごしていないのに、僕は学生服で過ごすその時間を、勝手に僕の到着点なのだと思っていた。だが、永遠は終わる。ずっと一緒にいた僕たちは、そのまま永遠の向こう側には、行けなかった。

 彼女は僕と一緒に遠くの大学へ行きたがっていたけど、いろいろな面で、それは許されるものではなかった。僕は地元就職も考えたのだけど、結局なんとなく、自分の可能性に手を伸ばした。永遠を信じていた僕は、それが浅はかなことだったのだと、後で知ることになった。

 塞ぎこんでいた彼女に、僕は通常営業を装って「何やってるの?」と話しかける。

 「飛び出す絵本、つくったよ」

 僕は彼女に、二つ折りの画用紙を渡す。彼女が開くと、そこには手をつないだ二人の男女がいて、もっと開くと、二人の顔が近づき、唇を重ねる仕組みになっていた。

 とても恥ずかしかったが、彼女しか見ないのだと思って、僕はそのラブレターに、「二人だけの永遠」と書き込んだ。その後に堪らなく悲しくなって、だいぶ滲ませてしまったのだが。

 小さな彼女は痛々しいほど愛おしげに微笑み、僕は堪らずその頭を抱きしめた。


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テーマソングは「バイ・マイ・サイ」by radwimps
2011.11.14 Mon l 1000文字小説 l コメント (0) トラックバック (0) l top
 借りていた映画のDVDを返す際、私は彼女に感想を聞かれた。新緑が香るさわやかな六月の話である。

 「主人公の挙動が僕の笑いのツボをよく突いたから、そこは楽しく見られたな。でも最後の大どんでん返しはどう考えても無理があると思った。主人公の性格はとても冷静、かつユーモラスなんだ。しかも彼の親父が死んだときでさえ本気でジョークを飛ばしていたことから、彼のスタンスはよほど強く保たれていると考えられるわけ。それにしたがうとさ、彼女がエイリアンに食われるくらいであんなに取り乱すわけがないんじゃないかな。その設定的な致命的矛盾は残念だった。話の展開を強引に推し進めようとする意図が見え透いているという点でね。あと作品全体の話として、BGMが狙いすぎなんだよな。カットごとに切り替えれば何でも最良と思っているみたいだし、無音の効果も無視しているように思われる。んで発見したのがさ、最後のエンドロールだ。あの映画、シナリオ監督が音響監督もやっているらしいよ。どうやらそいつがいけなかったようだな。演技の方で救われているところはあるけれど、やはり雰囲気と展開の安っぽさは否めない。したがって、以上のことをまとめると僕の感想は『面白い部分もあったけど、全体的に陳腐で失笑した』ってことになる」

 私は一生懸命に自分が思ったことを説明した。

 以前同じケースにおいて私が作品の評価を述べると、彼女は「それは感想ではなく論評である」という抗議を暴力的な表現により30分もかけて展開した。それを受けて私は反省し、今回に臨んでいるわけである。感想と論評の違いは何か。それは、主観が入るか否か、である。だから私は、普段は使いもしない「楽しく」とか「残念」とか、あげく「失笑した」などという主観的表現を織り交ぜて話したのである。

 しかし、彼女の反応は、私の予想を大幅に下方修正しなければならぬものだった。

 「はぁ……せっかく貸したのにまた訳分かんないこと言ってるし。もういいわ」

 「どこが分からなかった?無音の効果の話だったら例えばさ、エイリアンの蛸足をトムが刺身だと思って食べちゃうシーン。衝撃的なのは分かるけど、一瞬の理解に詰まる『間』っていうのがひt――」

 次の瞬間、私は彼女によって右頬に打撃を受け、彼女は憤慨した表情で「私の知らないところで生きて。この幸せ者が」という言葉を残し、去って行った。私は呆然としながら、「ありがとう」と言うほかなかった。
2011.11.14 Mon l 1000文字小説 l コメント (0) トラックバック (0) l top