短編(http://tanpen.jp/)第113回コンペにて発表した本作の自己評価です。
今回は解説できることがほとんどないため「自己評価」としました。
コンペは終了しています。僕の作品を批評してくれた方々、ありがとうございました。
加えて、伊吹さんおめでとうございます。
なお僕の作品は短編のページかこのサイト内のページで読めます。
さて、
今回の作品は、主人公の回想から「現在」における彼の心理を類推する、という形式でした。
しかしながら、最初からこの意図があったわけではなく、ぶっちゃけほとんど「ミズナラメウロコタマフシ」っていう存在を外界に知らしめたかっただけだったんですよね。
したがって、例えば最後の一文「腹の中にいるのが誰の子なのか、僕は知らなかった」というのも完全なる後づけであり、またそれゆえ、技術の低さから「蛇足」とされるのは仕方のない事といえるでしょう。
そんな感じで、端的に言えば、部分部分がばらばらなのです。これは思いつきで書いたことを示す何よりの証拠です笑。
当然イメージは繋がるようにしてありますが、それはあくまで「匂わせているだけ」であり、分析によって「こうだ」といえるような「部分ごとの可視的な繋がり」は持たせていないのです。
そうすると、作品の解釈は読者の感性に委ねられざるをえません。そのような意味で、本作は非常に弱かったなぁ、と僕は正直感じています。作者として怠惰だったなぁと。
ってことで、自分の中では落第作。気に入ってはいますがね。
ちなみに、本作に込めた主題ですが、悩んだ結果、今回は開示しないことにしました。
理由は第一に、上のような過程を踏んでいるだけに考え方が練りきられていなかったこと。
倫理的な問題をはらむことを色々考えていたのですが、複雑なので矛盾点を解消しながら書くのが面倒臭いという裏事情もあります。
第二に作品と主題の繋がりが見えにくい事。
感想を見ると、僕の込めた主題を精確に捉えた方はいないようでした(強いて挙げるなら、素直に「悪い事をしてしまったような」と言ってくれた人や「後味が悪い」と言ってくれた人が近いかな)。
しかしそれのどれが間違っているということはなく、読者の見出した各々の解釈は、文章とひとセットでその人の中の「作品」そのものです。
すなわち、作品は他人が認識した時点で作者の手から離れるのですから、どんな意図を込めていても、作品自体から伝わりようがない限りそれは無意味なのです。
したがって、本作品の未熟さは上記の通りですから、作者と違う解釈をしている読者に対し、本来の意図(主題)を提示してイメージの払しょくを狙うのは全く野暮だと言わざるをえません。
ということで、あらためて主題を主張したいなぁと思った折には、新しい物語でも作りたいと思います。
それにしても、本当に色々と感想が出てきましたね。これは僕としては嬉しく、また驚きでした。せっかくなので、いくつかの感想に応答したいと思います。
>主人公の常人離れした行為への予感
正直、僕は「常人離れした行為」に対しての予感だとは思っていませんでした(かつその後の「報復」というのも想定はしていません)。しかしなるほど、こちらの方が物語の道筋としてはスッキリしていますね。
>「寒さの厳しい朝」とかもちょっとおとなしすぎておもしろみがないなあ。
頭に浮かんだ情景が、その程度のものでしかなかったのです。ただし確かに面白くない。せめて「鼻毛が凍って不快に鼻腔をくすぐるような朝」くらいには書いておきたかったですね。
>なんだか全体的に練習問題の回答を読んでいるみたい。
その通りでした。プロに読まれてもいい位の覚悟を持って作品を提供するべきなんですかね?やっぱり。
>「自己主張」に対する抵抗には興味を持てた。
なるほど、意識はしていませんでしたが、確かに冬芽をちぎり解体するのは主人公による抵抗だったかもしれませんね!ただ、主人公にはそれ以上の暴挙を強行するほどの強い衝動があるわけではなかった。その後のウジウジとした感じは、そういった意味で歯がゆいものだったかもしれません。
>この流れで行けば、妻が身篭ったのが誰の子かわからないことよりも、それを確かめるために妻の腹を裂き子どもを殺しかねない自分が恐ろしいのではないか。
これも最初の引用と似ています。全体的に受け取ってもらった印象は「狂気」なんですかね。
しかし一応言っておくと、主人公は回想で自分の罪深さを自覚しているように、一定の倫理観の持主です。したがって僕としては、大人になった彼がそのような衝動的行為に出るとは考えにくい、というのが正直なところです。まぁ完全に否定できないのが面白い所なんですが。
あ、こうやって見ていくと、狂気に身を任せて主人公が暴挙に出る、という設定の方が面白かったのかも知れませんね。
しかしだとすれば、僕はもっと消化不良な終わり方の方が好みなので、そういう考えに至った時点で寧ろもっと救いようのない作品にシフトを試みていたかもなぁとも思います。
主人公が苦しみに悶絶するさま。そこに自分を投影して、読者にも苦しんでもらいたい。
そんな欲求が生まれていたりします。僕は悪人でしょうか。笑
しかし、やっぱり人の見える位置に表現を提示するっていいですね。
それを通した精神交流が可能になる、という点においてとても有意義でした。
自己満の類ですが、今回はいつにもまして収穫がありほくほくしています。
はてさて、次回作も残念ながら「練習問題の回答」の域を出ない作品なのですが、まぁ複雑なテーマは込めていないので、今回よりは理解がされやすいかもしれません。
票が集まるかは知りませんが笑。
では次回コンペも楽しんでいきましょう!ノシ
今回は解説できることがほとんどないため「自己評価」としました。
コンペは終了しています。僕の作品を批評してくれた方々、ありがとうございました。
加えて、伊吹さんおめでとうございます。
なお僕の作品は短編のページかこのサイト内のページで読めます。
さて、
今回の作品は、主人公の回想から「現在」における彼の心理を類推する、という形式でした。
しかしながら、最初からこの意図があったわけではなく、ぶっちゃけほとんど「ミズナラメウロコタマフシ」っていう存在を外界に知らしめたかっただけだったんですよね。
したがって、例えば最後の一文「腹の中にいるのが誰の子なのか、僕は知らなかった」というのも完全なる後づけであり、またそれゆえ、技術の低さから「蛇足」とされるのは仕方のない事といえるでしょう。
そんな感じで、端的に言えば、部分部分がばらばらなのです。これは思いつきで書いたことを示す何よりの証拠です笑。
当然イメージは繋がるようにしてありますが、それはあくまで「匂わせているだけ」であり、分析によって「こうだ」といえるような「部分ごとの可視的な繋がり」は持たせていないのです。
そうすると、作品の解釈は読者の感性に委ねられざるをえません。そのような意味で、本作は非常に弱かったなぁ、と僕は正直感じています。作者として怠惰だったなぁと。
ってことで、自分の中では落第作。気に入ってはいますがね。
ちなみに、本作に込めた主題ですが、悩んだ結果、今回は開示しないことにしました。
理由は第一に、上のような過程を踏んでいるだけに考え方が練りきられていなかったこと。
倫理的な問題をはらむことを色々考えていたのですが、複雑なので矛盾点を解消しながら書くのが面倒臭いという裏事情もあります。
第二に作品と主題の繋がりが見えにくい事。
感想を見ると、僕の込めた主題を精確に捉えた方はいないようでした(強いて挙げるなら、素直に「悪い事をしてしまったような」と言ってくれた人や「後味が悪い」と言ってくれた人が近いかな)。
しかしそれのどれが間違っているということはなく、読者の見出した各々の解釈は、文章とひとセットでその人の中の「作品」そのものです。
すなわち、作品は他人が認識した時点で作者の手から離れるのですから、どんな意図を込めていても、作品自体から伝わりようがない限りそれは無意味なのです。
したがって、本作品の未熟さは上記の通りですから、作者と違う解釈をしている読者に対し、本来の意図(主題)を提示してイメージの払しょくを狙うのは全く野暮だと言わざるをえません。
ということで、あらためて主題を主張したいなぁと思った折には、新しい物語でも作りたいと思います。
それにしても、本当に色々と感想が出てきましたね。これは僕としては嬉しく、また驚きでした。せっかくなので、いくつかの感想に応答したいと思います。
>主人公の常人離れした行為への予感
正直、僕は「常人離れした行為」に対しての予感だとは思っていませんでした(かつその後の「報復」というのも想定はしていません)。しかしなるほど、こちらの方が物語の道筋としてはスッキリしていますね。
>「寒さの厳しい朝」とかもちょっとおとなしすぎておもしろみがないなあ。
頭に浮かんだ情景が、その程度のものでしかなかったのです。ただし確かに面白くない。せめて「鼻毛が凍って不快に鼻腔をくすぐるような朝」くらいには書いておきたかったですね。
>なんだか全体的に練習問題の回答を読んでいるみたい。
その通りでした。プロに読まれてもいい位の覚悟を持って作品を提供するべきなんですかね?やっぱり。
>「自己主張」に対する抵抗には興味を持てた。
なるほど、意識はしていませんでしたが、確かに冬芽をちぎり解体するのは主人公による抵抗だったかもしれませんね!ただ、主人公にはそれ以上の暴挙を強行するほどの強い衝動があるわけではなかった。その後のウジウジとした感じは、そういった意味で歯がゆいものだったかもしれません。
>この流れで行けば、妻が身篭ったのが誰の子かわからないことよりも、それを確かめるために妻の腹を裂き子どもを殺しかねない自分が恐ろしいのではないか。
これも最初の引用と似ています。全体的に受け取ってもらった印象は「狂気」なんですかね。
しかし一応言っておくと、主人公は回想で自分の罪深さを自覚しているように、一定の倫理観の持主です。したがって僕としては、大人になった彼がそのような衝動的行為に出るとは考えにくい、というのが正直なところです。まぁ完全に否定できないのが面白い所なんですが。
あ、こうやって見ていくと、狂気に身を任せて主人公が暴挙に出る、という設定の方が面白かったのかも知れませんね。
しかしだとすれば、僕はもっと消化不良な終わり方の方が好みなので、そういう考えに至った時点で寧ろもっと救いようのない作品にシフトを試みていたかもなぁとも思います。
主人公が苦しみに悶絶するさま。そこに自分を投影して、読者にも苦しんでもらいたい。
そんな欲求が生まれていたりします。僕は悪人でしょうか。笑
しかし、やっぱり人の見える位置に表現を提示するっていいですね。
それを通した精神交流が可能になる、という点においてとても有意義でした。
自己満の類ですが、今回はいつにもまして収穫がありほくほくしています。
はてさて、次回作も残念ながら「練習問題の回答」の域を出ない作品なのですが、まぁ複雑なテーマは込めていないので、今回よりは理解がされやすいかもしれません。
票が集まるかは知りませんが笑。
では次回コンペも楽しんでいきましょう!ノシ
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