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僕はトランプを二枚ずつ組み合わせた。

組み合わせて組み合わせて、一つのタワーを作っていた。

「何をしているの?」

そう君は言ったね。

だから二段目にトランプを立てながら、僕はこう言った。

「カタチを作っているんだよ」

「何のカタチを作っているの?」

「物語のカタチだよ」

そう言って僕は三段目のトランプを組み立てる。

奇しくもジョーカーが睨み合った。

「どうして綺麗に仕舞ってあったのに、カタチを作るの?」

「仕舞ったままでは、ここに物語ができないからだよ」

四段目のトランプを立てて、そこに僕は指をさす。

「どうしてそこに物語を作るの?」

「このトランプに意味が生まれるからだよ」

僕は五段目に組んだキングとエースに微笑みかける。

「どんな意味が生まれるの?」

「生まれた意味だよ」

六段目のトランプがパタリと崩れて、僕はそっと組みなおす。

それから君は、ちょっぴり首をかしげたね。

「カタチを作れば、生まれた意味が生まれるの?」

僕はゆっくり頷いた。そうして七段目を作りながら、こう言い換えた。

「仕舞ったままでは、生まれた意味は生まれないよ」

「でも、邪魔にならないの?」

君は空気を指さして言ったね。

何もない方が綺麗だと、無垢の君は思うかい?

八段目にトランプを立て、僕は少しだけ意地悪に答えてみる。

「物語ができなければ、邪魔だと思うよ」

すると君は機転を利かせて、すぐにこう問い返したね。

「物語ができれば、邪魔じゃないの?」

それから僕は少しだけ言葉を探した。

九段目は少し窮屈そう。けどパタリとは倒れない。

「お互いに支え合うのだから、邪魔じゃないよ」

「物語を作れば、お互いが支え合うの?」

「お互いに支え合わなければ、物語は作れないんだよ」

十段目になると難しくて、僕は何度もトランプを立て直しながら答えた。

すると少し考えて、お利巧さんの君は、こう尋ねたね。

「お互いを支え合わなければ、カタチは作れないの?」

僕は再び頷きながら、最後の一組を組み立てる。

そしてそこから離れてみると、歪な一つのタワーになった。

「お互いが支え合えば、生まれた意味が生まれるよ」

「じゃあこうすれば、生まれた意味も死んでしまうの?」

君が手で払うと、パラパラという音を立てて、全ては崩れたね。

そこには何もなくなってしまった。そうだね。もう何もない。

だけれど、生まれた意味は死ぬと思うかい?

僕は君に微笑むよ。

「ほら、見てごらん。生まれた意味はここにあるよ。

物語ができたのだから」
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2011.11.27 Sun l 1000文字小説 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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