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この記事が解説している作品はこちらから読むことができます。(12/9)

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 北村氏のサイト「短編」(ttp://tanpen.jp/)に掲載中の上記タイトルの小説ですが、コメントがついていたので、本ブログに転載する前に解説をしておこうと思います。

 全体としては、ほんのりと温まっていく刹那を描く試みでした。
 象徴的なのは最後の一文。

 「間もなくその熱はほんのりと、教室を温めるだろう。」

 その熱とは、どの熱なのか。
 実を言うとこの直前には、「今さら~ストーブ。」という体言止めの一文が置かれているのですが、これはフェイクのようなものであり、「その熱」はストーブの熱に限りません。
 それは二人が作る微笑ましげな空気だったり、体温だったり、あるいは温かな気持ちだったりもします。そういうつもりでした。
 やがてそれらは日陰の窓にはびこる霜を融かし、緊張をとかし、初々しすぎて拒絶的な、二人の自意識をとかしていく。
 つまり、そうなるまでのささやかな物語を描きたかったのです。僕は。

 はてさて、それを踏まえたうえで、途中の一説

 「なぜなのか、自分ではよくわからない。」

 についてを解説します。
 これは、彼女からの視線を受けて主人公が抱いた「どきり」に対しての自問と自答です。
 正解を言ってしまえば、主人公が「どきり」としたのは、彼女の視線から彼女が自分に抱いている好意を感じ取り、それに自分の恋心が反応してしまったためです。彼女の好意は、後の一言、

 「皮剥かないと、すぐに食べ終わっちゃうから」

 にも暗に示されています。これを翻訳すると、「勉強するよりも、こうして君と過ごす時間がたくさん欲しかったから、私は皮付きの栗を買ったの」となります。この一言を言うために彼女は一瞬ためらい、主人公の様子をうかがったわけです。彼女自身、きっとどきどきしていたんでしょうね。あら初々しい。
 主人公が抱いた「どきり」の意味は、読者が悟ってくれることを期待して、敢えて伏せました。だからこそ、僕は「いや、わかるだろう。むしろわかれよ」という読者の突っ込みがほしくて、主人公に「よくわからない」と直球で独白させた節があります。
 ちなみに、わかるはずなのにわからなかった原因は、主人公の自意識に求めることができます。
 つい先ほどまで、主人公は「挫けそうだった」のです。文脈からは、主人公は腹の内に好意を抱えて誘い出したは良いものの、本人としてはうまくいかないと思っていたことが推察されると思います。したがって、主人公は「彼女のことが好きなのに、空回りをしている」という、それ自体が空回りのような自意識を抱えていたといえるでしょう。しかし実際は、そんな独り舞台などではなかったのです。彼女が好意的な視線を主人公に向けてくれたのですから。ただ、主人公にとって、それは自意識との大きなギャップを示す、驚くべき事実であったと考えられます。
 詰まる話、彼女の好意を主人公は感受することができたのですが、上の自意識が大き過ぎたせいで、その意味を上手く咀嚼することはできなかったんですね。

 (以上のことから、僕は、主人公の「わからない」という独白に不足を感じてはいません。僕の意図をくみ取っていただければ幸いです。という冗長な言い訳です。
 ……ただし、そうは言いつつ、どんなときにも分からないことを直球で「分からない」と表現するのが、そもそも僕は好きなんですよね。知らないよりは知っていて、でも解釈を削らない、そういう無傷な言葉な気がして、傷つくのが怖い僕にとっては、余計に馴染み深いからなのかもしれません。
 しかし、「分からない」という言葉は非常に無責任です。全部まる投げしてしまうような投げ遣りさがあります。分からないなら分からないなりに、もっと文学的に仄めかす表現があったろうに、と思わないでもありません。
 ですので自分自身に満足しないよう、そういうところを指摘してくれる方を僕は歓迎しています(まぁ訂正はしないけど)。
 たぶん、僕とは異なる価値観をお持ちの方か、僕と同じベクトルの価値観を持ち、かつ僕より先を歩いている方なのだと思います。)

 というわけで、コメントは大事にいただきました。どうもありがとうございます。

 重ねますが、当ブログにも後で本作を転載する予定です。(12/4現在)
 (っていうか、先行して解説ばアップしちゃうのも言い訳がましいわな笑)

 ではでは、解説は以上!

優勝しました。
記念なので小説の方、誤字もそのまま載せておきました。あはは。
やっぱり実力以上の評価のような感がぬぐえませんが、この作品が僕の手を離れ、そこまで成長したのだと思えば、感慨深いですなぁ。
ええまぁ、詰まる話が嬉しいのです。
どうもありがとうございました。
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2011.12.04 Sun l 短編(サイト)関連 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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