FC2ブログ
 はてさて、だいぶ投票者が増えたようだ。短編(http://tanpen.jp/)の第111回コンペ。
 かなり言いたい事を言うが、せっかくなので票を入れなかった作品にもコメントを書いておこう。あの論調で。

 追記から↓
#1
 冬だからこそ色が出てくる作品だろう。だが同じ夏を舞台にしている#7とは、残念ながら明確な差が出ているように思われる。風景描写は丁寧だが、そこに込められた「何か」があるのだろうか。私が見る限りでは、物語を引き立てるわけでもなく、ただ「ああ、夏っぽい」ということを匂わせるのみにとどまっており、ハリボテのような薄っぺらさが否めない。人物の行動にも必然性が感じられず、際立った見所もあるようには感じられなかった。

#2
 劇的な状況、及び相応の語り口だが、物語としては何も動いていない。主人公は同情される余地があるが、文章全体が彼の惨めさを「説明」するのみにとどまっており、本作自体が「説明」以上の価値を有していないように感じられてしまう。そこから何か状況が動かないか、独特な描写か何かがなければそれ以上のものは見出しがたい。私の気付かない部分に暗号めいた意味が隠されていると言うのなら、感服の一言だが。

#3
 個人的には好きだった。ただし、小学生が「ウンコ」を連呼して喜ぶくらいのレベルで。読後に「パンツ」に脳内が占拠されたのは、おそらく作者の狙い通りであろうが、くだらなさの中にもう少し味わいがほしいところであった。女の子の屈託のなさには好感が持てたが、例えばそのキャラクターをつかってもう一捻りくらいあればもっと良くなったのではなかろうか。あとは結末にもうちょっと意外性を持たせるとか。

#5
 この作者様は過去の作品を見るにとても衝動的(※っていうのもあとで考えてみたら的を射た表現じゃないけど)な描き方をする方なのだろうと私には感じられる。今作からは作者の感性がびりびりと伝わってきた。その特異性には脱帽せざるを得ない。私の中にはおそらく作者様の持っているような感性は存在しないだろうから、なおさらである。しかしながら漏れた。なんというか、本作に関して言えば「当たり障りがない」という感を得てしまったからかもしれない。今ちょっと後悔気味。他者のコメント(曰く「徐々に枕草子感を出していく」)を読んで好感度がアップしたのはひみつである。

#6
 かなり斬新な作風であり、狂気に満ち満ちている感は痛いほど伝わってきたのが良かった。最後の「オチ」もオチらしい。ただ、乱暴さがどうしても目に余ってしまう。詩と称すならまだ多少は良かったかもしれないが、小説としてみれば、やはりせめて「一気に夜の音が流れ込んできた」時の状況くらいはごり押しではなく丁寧な文章で伝えるよう挑まれるべきだったように私は思うわけである。

#8
 まず作者様の過去策を見て、私は「あ、この人の作品は理解できなくてもいいんだ」と安心した。次に「やはり私の頭は固いな」と思った。なんというか、ありがたみのある仏教用語がででんと出て面食らい、展開に翻弄されたのはまぁいいのだが、そのわりに読後の充足感がなかったことが気にかかったわけである。風が吹き抜けたのに身を硬くして耐えるしかなかった、という感覚に近い。個人的な衝動ではあるが。

#9
 情熱的かつ神聖なお祭りのような雰囲気がかもし出されているように思われるが、何を言いたいのかが全くわからなかった。かといって強い風のようなものがあるわけでもなく、「あ、なんかやってるな」で終わってしまった。あるいは近作を理解するには温羅などにまつわる知識を要するのかもしれないが、それにしても200字未満の作品はそもそも作品としてどうなのか、という消極的な印象も禁じ得ない。

#10
 日常の中で想像されうるファンタジーの描写として楽しめた。だが、これも物語に「動き」が見られる訳ではない。かつ描写そのものに印象的な点も見出せない。場面を切り取るだけなら、強調したい部分はもっと強調されるべきではないかと思った。すなわち紙魚が本を食べるさまの描写。また一方、会話文は必要だとしても、図書館外での動作は削る事ができるのではなかろうかとも思う。

#13
 文章や展開は整っているものの、「何かを主張したい」という空気が濃すぎて胸焼けしてしまった。後半における三角形の面積の公式についてのやりとりのような、クッション的な要素をもっとちりばめればよかったように思う。なおこの作品についてはこちらで詳しく述べられている。

#14
 どこから結びの言葉が導かれてきたのかはまったく分からないが、それでもそこはまぁよかった。私にはたぶんできない論展開だろう、という意味で好感すら持てる。ある意味哲学的。意味不明な作品の中でどれが一番「良かったか」と言われると、これである。しかし、こういうのはまだ咀嚼していると頭が割れそうになってしまい、私にはちょっと敷居が高すぎて選べなかった。己の器の小ささが悔やまれるが、事実として。

#15
 最後まで読んで初めてどんな旅が終わろうとしているのかが分かるようなつくりになっており、最終的には星の最期の風景がまざまざと浮かんできた。それには作者様の力を感じる。が、私の抱く「末期」のイメージとは相違があって投票を躊躇った。すなわち私には「末期」とは、もっとしんみりしたものではないかと思われるのである。壮絶な景色に見合うくらい盛大に盛り上がるよりは、不釣合いにしんみりとしていたほうが「終わり方」そのものも際立つのではなかろうか(単に感傷を求める私の我侭に過ぎないのかもしれないが)。


 だいぶ雑になってしまった感が否めないがだいたいそんな感じ。思慮不足な面はあるかもしれないが、嘘をついているつもりはないので不快になられた方には素直に謝りたいと思う。
スポンサーサイト




2011.12.17 Sat l 短編(サイト)関連 l コメント (0) トラックバック (0) l top

コメント

コメントの投稿












トラックバック

トラックバック URL
http://kirinonarahito.blog.fc2.com/tb.php/190-06a1a2a6
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)