FC2ブログ
 寿命が近いのか、蛍光灯はチカチカと不穏な光を植物研究会の集会室に投げかけていた。皆が黙ってこちらを見ている。私は毅然を装うが、内心はもう、泣きだしたかった。

 「やっぱり、ちゃんと調査がしたいです」

 堂々巡りなのは分かっている。しかしこれが自分の主張であり、曲げるだけの強力な要素がない以上は、引き下がるわけにはいかなかった。

 「だからさぁ、皆が皆、そういうわけじゃないでしょ?色んな人がいるっていうのが、このサークルの良いところなんだって、さっきから言ってるじゃない」

 そう口を出すのは上田先輩だ。文系である自分の身を擁護するような意見に、私はさっきから腹が立っていてしかたがない。

 「もともとそれがこのサークルの本質だったんですか?私は違うと思います。名前に『研究』という文字が入っていながら研究をしないのは、存在の矛盾です。要はやる気じゃないですか。OBの人たちは皆、頑張って調査をやってきたんですよ?」

 「構成メンバーが変われば、サークルの質が変わるのは仕方ないと思うよ?質が変われば、それに共鳴した人が入ってくるものだし、そんな人たちが安心できている雰囲気をいきなり壊したら、大変でしょう」

 「何が大変なんですか?もともと研究質のサークルだったんだから、それが嫌な人は出て行ってもらって、また新しく部員を集めれば良いだけの話じゃないですか」

 今のはちょっと問題発言だ、と言うように、黙ってやり取りを聞いていた部長はおもむろに立ちあがった。

 「まぁまぁ。二人とも、ちょっと白熱しかけているぞ。今日はもう閉館も近いし、いったんお開きにしよう」

 様子を見るだけの部長も、私は好きになれない。上田先輩も部長も、他の先輩もみんな、このサークルに向いてないんだ。悔しさに俯いて唇を噛みしめていると、ぞろぞろと彼らは出払っていって、私は独り取り残されてしまう。

 せっかく楽しみにしてきたのに、ふたを開ければ腐っていた。花が好きで、木が好きで、その研究がしたくて大学を目指した私は、今、工学部にいる。点数が足りなかったのだ。でもまだ諦めきれなくて、すがるような思いでこのサークルにやってきた。なのに、こんなんじゃ……。

 夕食を食べに行った皆とは離れて、私は一人で家に帰った。

 「あー!もう!!」

 私は鞄を投げ捨て、ベッドに倒れこむ。静まる部屋に、彼らの私に対する愚痴が聞こえてくる。全てが煩わしくなって、私はそのまま動かなかった。


---------------------------------

※連載にできそうな勢いだけど、モデルがいるのでちょっと問題があるかな。
スポンサーサイト



2011.11.12 Sat l 1000文字小説 l コメント (0) トラックバック (0) l top

コメント

コメントの投稿












トラックバック

トラックバック URL
http://kirinonarahito.blog.fc2.com/tb.php/30-d89f946b
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)